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映画『ミス・ポター』がいよいよ9月15日に公開!

美しい湖水地方の景色が満載!

映画『ミス・ポター』

いよいよ、9月15日に映画『ミス・ポター』が公開されます。「ピーターラビット」のファンにとっては聖地とされる湖水地方ですが、その作者であるビアトリクス・ポターの物語が映画になるのは初めてのことです。
映画のタイトルはズバリ「ミス・ポター」。すでに駅貼りポスターや雑誌の特集企画などで見ている方も多いかと思います。

 映画のストーリーは、レニー・ゼルウィガー演じるビアトリクス・ポターが「ピーターラビットのおはなし」をロンドンの出版社に売り込みに行く場面から始まり、ポターと担当編集者ノーマン・ウォーン(ユアン・マクレガー)との恋愛を軸に展開されていきます。

ポターとノーマン

 現代とは違い、ビアトリクス・ポター(1866年〜1943年)が生きた時代は、女性にとっては自分の意志を通して生きることがとても難しい時代でした。特に当時のイギリス社会において、財産のある裕福な中産階級の女性が仕事をしてお金を得る、という生き方は「はしたない行為」とされていましたし、30歳を過ぎて女性が結婚もせず職業をもつことに対しても白い目で見られた時代でした。

 そんな中、自ら出版社に自分の絵を売り込み、本を出版しようとしたポターの情熱は稀有なものだったと思います。しかし、ポターは、処女作『ピーターラビットのおはなし』が爆発的な大ヒットとなったことで、次々と作品を発表し、それもまた大ヒットという恵まれたスタートを切ることで、周囲の偏見をはねのけていきました。その影にはポターの作品を理解し、彼女の創作活動を支えてくれた婚約者ノーマンの存在があったということが映画にも出てきますので、ぜひ見逃さずご覧ください。


映画『ミス・ポター』のロケ地を訪ねて

 昨年(2006年)5月に湖水地方の観光関係者が多数来日した際、『ミス・ポター』の映画を撮影中と伺い、ロケ地へ行ってみたい!と思ったのは私だけではなかったと思います。

ユー・トゥリ・ーファーム撮影時のレニー・ゼルウィガー

 実際のロケ地は湖水地方だけでなく、ロンドンやマン島など、さまざまな場所で行われています。また、景勝ルートとして有名な「セトル〜カーライル鉄道」も出てきますので、ぜひ目を凝らしてチェックしてみてください。私のような鉄道好きには嬉しいサービス・ショットでしたけれど、鉄道好きでなくても、この周辺の景色の美しさは必見です。

 実は、今年の5月中旬に映画「ミス・ポター」のロケ地を訪ねるプレスツアーへ参加しました。ポターの家「ヒル・トップ」として撮影された農場「ユー・トゥリー・ファーム」やラストシーンを撮影した北湖水地方の小さな湖「ロウズウォーター」などを、映画撮影に同行したロケーション・ファインダーのベンさんに案内してもらいながら訪れました。
ロウズウォーター

ベンさんから映画撮影時のエピソードを伺うことができ、とても充実した取材旅行だったのですが、「ターン・ハウズ」や「ロウズウォーター」で雨が降ってしまったことがちょっと残念。ただ、湖水地方の緑が美しいのは、この雨のおかげとも言われていますので、私自身は雨でも曇りでも晴れでも、どんな気候の湖水地方もそれぞれに良さがあり大好きです。



ヒル・トップとして撮影された「ユー・トゥリー・ファーム」

「ユー・トゥリー・ファーム」

さて、映画の主要舞台の一つに選ばれた「ユー・トゥリー・ファーム」ですが、現在もナショナル・トラストが所有している農場です。映画撮影期間は2〜3日だったものの、この建物を「ヒル・トップ」そっくりに作り替えるために約2週間、撮影後元にもどすために約1週間かかったとか。真っ白い外観を「ヒル・トップ」のようにグレーに塗り替え、正面の庭部分を「ヒル・トップ」と同じように野菜畑にするなど、さまざまなメイキングがなされたそうです。

 撮影後は復元されてしまったので、映画のような姿はありませんが、周辺の景色をよく見ると、「ユー・トゥリー・ファーム」で撮影されたことがわかります。

B&Bの手作りスコーン

 現在も管理人のジョン&キャロライン・ワトソン夫婦が、農業の傍らティールームとB&Bを経営しています。但し、B&Bはたった3室ですので、夏は早めの予約が必要ですね。キャロラインさんが作る手作りスコーンも超美味でした!


コニストン観光局に展示されている撮影時の写真  実はこの「ユー・トゥリー・ファーム」では、映画撮影時にちょっとした事件があったのです。撮影時に使われたのはこの家の外観と庭部分だけで、内部はマン島で撮影されていますので、いざ「ユー・トゥリー・ファーム」で撮影する段になった際、ドアの位置が逆になっていることが発覚!急遽ドアを作り替えるという作業が突貫工事で行われたといいます。

 その問題のドアが、コニストン観光局の入口に展示されていましたが、私たちが見逃してしまいそうな細かい部分まで、映画では作りこんでいるんだな〜と思ったエピソードでした。

ポターの家「ヒル・トップ」

 そのほか、ニア・ソーリー村のポターの家「ヒル・トップ」やポターの絵本に出てくるパブ「タワー・バンク・アームズ」、B&Bになっている「バックル・イート」、ポターの夫となったウィリアム・ヒーリスの弁護士事務所で、現在ポターの原画やゆかりの品が展示されている「ビアトリクス・ポター・ギャラリー」など、ポターゆかりの場所を再訪。これらは映画には出てきませんけれど、ポターファン必見の場所ばかりです。

 また、プレストリップでは、映画の中に出てくる「ターン・ハウズ」、「ラフリグ・ターン」、「ロウズウォーター」などの小さな湖も見てきました。このほかにも映画には「ダーウェント・ウォーター」など、湖がたくさん出てきますので、一般の人にはどれがどの湖かはなかなか判別できないかもしれません。特に小さな湖は何度も訪れている私も初めてという場所でした。映画撮影は時間もかかりますし、撮影隊は約150名いたといいますので、あまり人が多くない小さな湖を選んで撮影したのでしょう。

ダーウェント・ウォーター

 そのため、映画には湖水地方で最も大きく有名な湖「ウィンダミア湖」も出てきませんし、ニア・ソーリー村の近くにあるポターお気に入りの湖「エスウェイト湖」も出てきません。ロケ地からはずした理由は、このエリアに人が多かったからだと思います。

 湖水地方の観光ポイントについては、「魅惑のイギリス紀行」のコース2「世界遺産エジンバラとイギリス文学の聖地を訪ねる」と、コース4「イギリス周遊ハイライト紀行」で書いていますので、そちらをご覧になってください。また、コラムでも「ビアトリクス・ポターとピーターラビット」について書いていますので、こちらもあわせてお読みください。

 映画のストーリーとともに、100年前の景色と変わらない湖水地方の景色を楽しめるのがこの映画の魅力ですが、「ピーターラビット」だけでなく、作者ビアトリクス・ポターのドラマチックな人生にも、ぜひ思いをはせていただきたいと思います。 (文&写真(ロケ地):木谷朋子 写真(映画):角川映画)


ムービーマップ

『ミス・ポター』ムービーマップ(日本語版)を配布中!

映画『ミス・ポター』のロケ地とポターゆかりの場所を紹介するムービー・マップを英国政府観光庁で配布しています。
詳細は英国政府観光庁ウェブサイト(http://www.visitbritain.jp/)でオンライン請求してください(送料のみ着払い)。


【お知らせ】9月21日にイベント講座「映画『ミス・ポター』と湖水地方」を開催!

来たる9月21日、銀座のリプトン・ブルックボンドハウスで、映画『ミス・ポター』やロケ地のこと、ビアトリクス・ポターゆかりの場所の話、湖水地方のみどころや、美味スポット、旅行の方法など、湖水地方のいろいろな側面をお話することになりました。 これまで取材で何度も湖水地方を訪れ、さまざまな本や雑誌にエッセイや記事を書いてきましたが、こうしたメディアで得られた知識はほんの一部しかご紹介できないのが実情です。講演では、今まで語れなかったことや書いていないことも含め、湖水地方のさまざまな魅力をお話したいと思っています。
通常、講演はブルックボンドハウスの会員向けですが、このイベントに関しては、会員以外の方の参加も可ですので、ぜひご興味ある方はぜひいらしてください。紅茶を飲みながら楽しくお話をしたいと私自身も楽しみにしています。当日は、映画「ミス・ポター」の予告編上映や湖水地方の景色を紹介するDVDの上映、写真でのロケ地紹介のほか、映画のロケ地マップや湖水地方のパンフレット配布なども行います。お申し込みは以下まで。(木谷朋子)

・日時 9月21日(金) @10:30〜12:00 A14:00〜15:30 B18:30〜20:00
・会場 銀座 リプトン・ブルックボンドハウス
・講師 木谷朋子(旅行ジャーナリスト)
・参加費 5250円
・申し込み先 リプトン・ブルックボンドハウス
         http://www.brookebondhouse.com
         TEL:03-3535-1105 FAX 03-3535-1107 (平日・土曜の10:00〜19:00)

木谷朋子

PROFILE
旅行ライター。中学時代からのイギリス好き。1983年の初渡英以来、イギリスを含め、ヨーロッパ各地を旅する。大学卒業後、留学雑誌の編集者を経て1989年〜1991年にイギリスへ留学。ロンドンがドラスティックに変貌した90年代には、毎年ホテル、レストラン、ショップを100軒以上取材。イギリスに関する主な著書に『英国で一番美しい風景湖水地方』(小学館)、『ロンドンと田舎町を訪ねるイギリス』(トラベルジャーナル、共著)、『ハッピーロンドン』(双葉社。共著)、『イギリス留学』(三修社)などがある。